関節がポキポキ鳴るのはなぜ?「鳴らすと変形する」は本当?痛みとの関係を解説

健康・生活

「指をポキポキ鳴らすと、関節が太くなるって聞いたことがある」

「膝を曲げるとゴリゴリ音がするけど、軟骨がすり減っているの?」

「首をポキッと鳴らすのが癖だけど、大丈夫?」

このように、関節から聞こえる音が気になったことはありませんか?

関節の音には、「ポキッ」「パキッ」「コキコキ」「ゴリゴリ」「ミシミシ」など、さまざまな種類があります。

そして、その音を聞くと、

「骨が変形しているのでは?」

「軟骨が削れているのでは?」

「このまま放っておいたら痛くなるのでは?」

と心配になる方もいるでしょう。

結論からいうと、関節から音がすることだけで、関節が傷んでいるとは限りません。

一方で、音に痛みや腫れ、動かしにくさなどが伴っている場合には、少し注意が必要です。

この記事では、関節が鳴る仕組みから、「指を鳴らすと関節が変形する」という話の真偽、膝や首の関節音について、研究結果をもとに分かりやすく解説します。

結論:関節を鳴らすだけで変形するとは言えない

まず、多くの方が気になっている疑問から答えましょう。

結論:「関節を鳴らしていると、関節が変形する」という明確な証拠はありません。

(以降、音が鳴るメカニズムなども詳しく説明していますので、時間がない方は「まとめ」に飛んでいただけますと要点がわかりやすいかと!)

特に有名なのが、

「指をポキポキ鳴らしていると、将来、関節炎になる」

という話です。

子どもの頃に、「指を鳴らしているとおばあちゃんのような手になるよ」などと言われた経験がある方もいるかもしれません。

では、本当にそうなのでしょうか?

実は、この疑問については、実際に研究が行われています。

もちろん、痛みがあるのに無理やり関節を動かしたり、強い力で何度もひねったりすることまで「問題ない」という意味ではありません。

ここで大切なのは、

「関節から音がすること」と「関節が変形していること」は、同じではない

ということです。

では、そもそも、なぜ関節から「ポキッ」という音がするのでしょうか?

そもそも関節がポキポキ鳴るのはなぜ?

指の関節などを引っ張ったり曲げたりすると、「ポキッ」と音が鳴ることがあります。

この音には、「キャビテーション(空洞現象)」と呼ばれる現象が関係しています。

関節は「関節包」という袋に包まれていて、その中には関節の動きを滑らかにする「滑液」が入っています。

※関節音が生じる詳しい仕組みについては、現在も複数の説があります。

関節を急に引き伸ばすと、関節の中の圧力が変化します。

すると、滑液の中に気泡が形成される現象が起こります。

この現象に伴って、特徴的な「ポキッ」という音が発生すると考えられています。

つまり、

「ポキッ」という音がした=骨と骨がぶつかった

とは限りません。

まして、

「ポキッ」という音=軟骨が削れた音

というわけでもありません。

ただし、関節音が発生する詳しい物理的な仕組みについては、現在も完全に解明されているわけではありません。

また、指を一度鳴らすと、すぐには同じ関節から音が鳴らなくなることがあります。

これも、関節内の状態が元に戻るまでに時間が必要になるためと考えられています。

では、実際に「指を鳴らし続けると関節が変形するのか」を調べた研究を見てみましょう。

「指を鳴らすと関節炎になる」は本当?

「指をポキポキ鳴らすと指が変形して太くなる」という俗説がありますが、これは研究によって否定されつつあります。

2011年の研究では?

2011年にDeweberらが発表した研究では、50~89歳の215人を対象に、指を鳴らす習慣と手の変形性関節症との関係を調べました。

指を鳴らす習慣と手の変形性関節症との関連(Deweber K, et al. 2011)を参考に作図

その結果、指の変形性関節症がある人の割合は、

  • 指を鳴らす習慣がある人: 18.1%
  • 指を鳴らす習慣がない人: 21.5%

でした。

数字だけを見ると、「指を鳴らす人のほうが変形が少ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、この差には統計学的に有意な差はありませんでした。

この研究で重要なのは、「指を鳴らす人のほうが健康だった」ということではありません。

指を鳴らす習慣の有無によって、手の変形性関節症がある人の割合に明確な差がなかった

という点です。

長年、何度も鳴らしたら変形しやすい?

「でも、少し鳴らすくらいなら大丈夫でも、何十年も毎日ポキポキ鳴らしていたら、さすがに変形するのでは?」

そう思う方もいるでしょう。

この点についても、同じ研究で調べられています。

研究では、どのくらいの期間、どのくらいの頻度で指を鳴らしていたのかという、累積的な指鳴らしの量についても検討されました。

しかし、長期間にわたって頻繁に指を鳴らしていた人ほど、手の変形性関節症が多くなるという有意な関連は認められませんでした。

つまり、この研究からは、

「長年、何度も指をポキポキ鳴らしていると、手の関節が変形する」

という説を支持する結果は得られませんでした。

さらに2018年のレビューでは、それまでに行われた研究を整理し、指を鳴らす習慣と手の変形性関節症との関連は確認されていないとまとめられています。

ただし、ここで一つ注意しておきたいことがあります。

これは、

「どんな方法で、どれだけ強く指を鳴らしても、関節には絶対に何の影響もない」

という意味ではありません。

医学研究には、対象者や研究方法などによる限界があります。

現在の研究から言えるのは、

「一般的な習慣として指を鳴らすことが、手の変形性関節症を増やすという明確な関連は確認されていない」

というところまでです。

それでは、関節から音がする場合、「痛み」とはどのような関係があるのでしょうか?

ここからは、指とは少し話が変わってきます。

指の関節と首では同じように考えられない

「指を鳴らしても関節炎との明確な関連がないなら、首をポキポキ鳴らすのも大丈夫なのでは?」

と思った方もいるかもしれません。

しかし、指と首の関節の音を同じように考えることはできません。

首には、脳へ血液を送る「椎骨動脈」や、脊髄、神経根などの重要な組織があります。

そのため、首を自分で強くひねったり、勢いをつけて動かしたりすることについては、指の関節を鳴らす場合よりも慎重に考える必要があります。

「関節から音がする」という点は同じでも、どこの関節から、どのような動かし方で音が出ているのかによって、話は変わってくるのです。

首を自分で強くひねって鳴らすことには注意

「首をポキッと鳴らすと、なんとなくスッキリする」

そんな経験がある方もいるでしょう。

首を動かしたときに一時的に楽に感じること自体はありますが、だからといって、強い力を加えて無理に首を鳴らすことを繰り返すのはおすすめできません。

特に、自分の手で首を強くひねるなどの「自己操作」については、重大な有害事象が報告されています。

2026年に発表されたシステマティックレビューでは、頚椎の自己操作後に生じた有害事象について、これまでに報告された24症例が検討されました。

その24症例のうち、

  • 軽度:4例(17%)
  • 中等度:7例(29%)
  • 重度:9例(38%)
  • 破局的(catastrophic):4例(17%)

に分類され、破局的とされた4例のうち2例は死亡例でした。さらに、24例中22例では、自己操作から2日以内に有害事象が発生していました。

報告された症例には、椎骨動脈解離や脳卒中などの重篤な事象も含まれていました。

ただし、ここは非常に重要です。

この研究は、首を自分で鳴らした人にどのくらいの割合で事故が起こるのかを調べた研究ではありません。

あくまで、医学文献に報告されていた「自己操作後の有害事象」を集めて検討した研究です。

そのため、

「首を鳴らすと高い確率で脳卒中になる」

という意味ではありません。

実際に研究の著者も、頚椎の自己操作には重大な有害事象が起こる可能性がある一方、そうした有害事象が一般的に起こるという証拠は確認できなかったとしています。エビデンスの確実性も非常に低いとされています。

では、なぜ「首を鳴らした後」にこうした問題が報告されているのでしょうか。

この点には、少し注意して考える必要があります。

今回のレビューでは、24症例のうち12例で、自己操作を行う前から首の痛みやこわばりがありました。また、12例では自己操作後の有害事象が「突然」または「直後」に発生していました。

つまり、

「首を鳴らしたことが原因で問題が起こった」のか、あるいは「すでに存在していた病変や症状がきっかけとなって首を鳴らし、その後に問題が明らかになった」のか

を、症例報告だけから判断することはできません。

したがって、ここから「首を鳴らすと血管が裂ける」と断定するのは適切ではありません。

一方で、強い力で首をひねることによって重大な有害事象が報告されていることは事実です。

そのため、わざわざ勢いをつけて首を鳴らしたり、強くひねって「ポキッ」と音を出したりする習慣は、避けておくのが無難でしょう。


こんな場合は「音」だけで判断しない

ここまで、指や膝、首の関節音について見てきました。

では、実際に自分の関節から音がするとき、何を基準に考えればよいのでしょうか。

理学療法士としてお伝えしたいのは、

「音がするかどうか」だけではなく、「音と一緒に何が起こっているか」を見ることが大切

ということです。

例えば膝の場合、「ゴリゴリ」「ミシミシ」といった音が聞こえることがあります。

これは医学的には「クレピタス」と呼ばれることがあります。

2025年に発表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、膝の「クレピタス(音)」は一般の人でも約41%、痛みのない人でも約36%にみられました。

一方、変形性膝関節症の人では約81%にみられています。

また、膝のクレピタス(音)とX線上の変形性膝関節症の有無には関連が認められていました。

ただし、この研究のエビデンスの確実性は低~非常に低いと評価されており、

「膝の音が変形を引き起こす」という因果関係を示したものではありません。

つまり、

「膝がゴリゴリ鳴る=膝が変形している」

と単純に判断することはできません。

では、何が重要なのでしょうか。

変形性膝関節症の診断について、欧州リウマチ学会(EULAR)の推奨では、代表的な症状や身体所見として、

  • 持続する膝の痛み
  • 軽度の朝のこわばり
  • 膝の機能低下
  • クレピタス
  • 膝の動きの制限
  • 骨が分厚くなる

が挙げられています。

そして、45歳以上の成人で膝の変形の有病率を12.5%と仮定した場合、これら6項目がすべて認められると、X線上の膝OAである推定確率は99%まで上昇すると報告されています。

ここで大切なのは、「音だけ」ではなく、痛みや動きの制限などと組み合わせて考えているということです。


関節の音があっても、身体の機能が悪いとは限らない

膝の音について、もう一つ興味深い研究があります。

変形性膝関節症の人を対象とした研究では、クレピタス(音)がある人は、ない人と比べて自分で評価した身体機能や生活の質がやや低く、痛みもやや強いという結果が出ています。

一方で、20m歩行テストや椅子からの立ち上がりテストなど、実際の身体機能を測定した結果には明確な差がありませんでした。

さらに、膝の筋力についても、クレピタスの有無による明確な差は確認されませんでした。

ここから「音がする」という情報だけでは、その人の身体機能がどの程度なのかは分かりません。

音が気になるからといって、すぐに「膝が壊れている」と考える必要はありません。

むしろ、音が気になって運動をやめてしまうのではなく、痛みや腫れ、動かしにくさなどの症状も含めて、自分の状態を判断することが大切です。

もちろん、音と一緒に症状がある場合は話が変わります。

例えば、

  • 関節に痛みがある
  • 腫れや熱感がある
  • 関節が動かしにくくなった
  • 動かしたときに引っかかる
  • 急に症状が出てきた
  • 日常生活に支障が出ている

といった場合には、「音だけだから大丈夫」と自己判断せず、整形外科などの医療機関で相談することをおすすめします。

関節の音そのものよりも、「音+症状」の組み合わせに注目することが重要です。


まとめ

関節から聞こえる「ポキポキ」「ゴリゴリ」という音は、多くの人が経験する身近な現象です。

今回の記事で覚えておいてほしいポイントは、次の4つです。

① 指の「ポキッ」という音だけで、関節が変形しているとは判断できない

指を鳴らす習慣と手の変形性関節症との明確な関連は、これまでの研究では確認されていません。

② 膝の「ゴリゴリ」という音は、変形性膝関節症と関連することがある

膝のクレピタスはOAの人に多くみられますが、音があるだけで「変形している」と判断することはできません。

③ 首を強くひねって鳴らすことは避けたほうがよい

頚椎の自己操作後に、血管や神経に関係する重大な有害事象が発生した症例が報告されています。ただし、こうした事象が一般的に起こるという証拠があるわけではありません。

④ 「音」だけではなく「症状」を見る

痛み、腫れ、熱感、動かしにくさなどが一緒にある場合には、関節の状態を確認する必要があります。

関節の音が鳴ったからといって、すぐに「関節が壊れた」と考える必要はありません。

大切なのは、音そのものに怖がるのではなく、「どこから」「どんな音が」「どんな症状と一緒に」出ているのかを見ることです。

気になる関節の音がある場合は、音だけで判断せず、自分の身体に起きている変化を一度整理してみましょう。

参考文献

  • Deweber K, Olszewski M, Ortolano R. Knuckle cracking and hand osteoarthritis. J Am Board Fam Med. 2011 Mar-Apr;24(2):169-74.
  • Meyer KW, Butler RJ, Trager RJ, et al. Adverse events following cervical spine self-manipulation: A systematic review. PM R. 2026 Aug;18(8):917-940.
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