ぎっくり腰になったら安静?動いた方がいい?痛みが強いときの正しい過ごし方

痛み

「ぎっくり腰になったら、できるだけ動かずに寝ていた方がいい」

そう思っている方は多いのではないでしょうか。

結論からいうと、ぎっくり腰になった直後でも「安静にしすぎない」ことが大切です。

もちろん、痛みが強いときに無理をして動く必要はありません。

大切なのは、

「痛みが強くなる動作は避けながら、できる範囲で普段の生活を続ける」

ということです。

急性腰痛では、長期間のベッド上安静よりも、できる範囲で通常の活動を続けるようにすることが推奨されています。

この記事では、なぜ安静にしすぎない方がよいのか、そしてぎっくり腰になったときにどのように動けばよいのかを解説します。


ぎっくり腰になったら「ずっと寝ている」のはおすすめしません

ぎっくり腰になると、腰を動かすだけで強い痛みが出ることがあります。

そんなとき、

「動いたらもっと悪くなるかもしれない」

「腰を傷めてしまったから、動かしてはいけない」

と考えて、ベッドや布団の上で一日中過ごしたくなるかもしれません。

しかし、痛みがあるからといって、必要以上に活動を制限することはおすすめできません。

急性腰痛患者を対象とした研究では、ベッドでの安静よりも通常の活動を続けるようにした方が、回復に有利な結果が示されています。

ここでいう「活動」とは、筋トレやランニングをするという意味ではありません。

例えば、

  • トイレに行く
  • 食事をする
  • 洗面する
  • 着替える
  • 家の中を歩く

といった、日常生活に必要な動作をできる範囲で行うことです。


安静にしすぎると、何が問題なのでしょうか?

では、なぜ「安静にしすぎない」ことが大切なのでしょうか。

一つは、活動量が極端に減ってしまうことです。

腰が痛い
↓
痛みが怖い・動かない
↓
日常生活の活動量が減る
↓
身体を動かす機会が減る
↓
さらに動くことが大変になる

という悪循環につながる可能性があります。

Vlaeyen JWS, Pain, 2000.を参考に作図。
無断コピー、使用、引用はお控えください。
Fear-avoidance modelとして有名ですが、こちらについては別の記事でお伝えします。

また、「腰を動かすと悪くなる」という経験が続くことで、上の画像のように腰を動かすことへの不安が強くなり、必要以上に動作を避けるようになることもあります。

腰痛では、このような痛みや不安による活動制限が、日常生活への復帰を妨げる要因になる可能性が指摘されています。

ただし、ここで注意したいのは、

「安静にすると必ず筋力が落ちるから、すぐ運動しなければいけない」

という単純な話ではないことです。

ぎっくり腰直後の強い痛みに対して、無理に運動する必要はありません。

重要なのは、必要以上に活動をゼロにしないことです。


「動く」と「無理をする」は違います

「活動した方がいい」と聞くと、

「痛くても我慢して動かなければいけないの?」

と思うかもしれません。

しかし、これは違います。

痛みを無視して頑張ることが、活動を続けるという意味ではありません。

例えば、家の中を歩くと腰が痛いとします。

5分歩くと痛みが大きくなるのであれば、無理に5分歩く必要はありません。

・1~2分程度なら大きな問題なく歩けるのであれば、短い距離を歩いて休憩する。

・必要な動作を行ったら休む。

・そして、症状が落ち着いてきたら少しずつ活動量を戻していくといった流れです。

このように、そのときの身体の状態に合わせて活動量を調整することが重要です。


アクティブペーシングという考え方

このように活動と休息を調整する考え方の一つに、アクティブペーシング(activity pacing)があります。

アクティブペーシングは、主に慢性疼痛の領域で研究されてきた考え方です。

そのため、ここでは「ぎっくり腰にアクティブペーシングを行えば治りが早くなる」と断定するのではなく、痛みがある中でも痛みが強くならないように日常生活を続けるための考え方として紹介します。

ポイントは、

「できることを無理のない範囲で行い、必要に応じて休む」

ことです。

例えば、

朝

起き上がる
↓
洗面・着替えをする
↓
朝食をとる
↓
少し休む

昼

必要な家事を行う
↓
疲れたり痛みが強くなったら休む
↓
できる範囲で家の中を移動する

夜

必要な動作を行う
↓
痛みが強ければ無理をしない
↓
楽な姿勢で休む

というように、「休むこと」と「動くこと」を組み合わせます。


以下の動作は一時的に減らした方が無難です

「安静にしすぎない」とはいっても、何をしてもいいわけではありません。

ぎっくり腰直後は、

  • 重い物を持つ
  • 腰を強くひねる
  • 痛みが強くなる姿勢を繰り返す
  • 長時間同じ姿勢を続ける
  • 痛みを我慢して長時間歩く
  • 無理に腰を伸ばしたりストレッチしたりする

などは、一時的に減らしてみましょう。

「できる動作」と「今は避ける動作」を分けることがポイントです。

そして症状が改善してきたら、少しずつ通常の生活に戻していきます。


もちろん休むことも必要!

ここまで読んで、

「じゃあ、ぎっくり腰でも休んではいけないの?」

と思った方もいるかもしれません。

もちろん、休むことは必要です。

痛みが強いときには、楽な姿勢で横になったり、活動量を減らしたりすることは問題ありません。

重要なのは、

「痛いから一日中動かない」

という状態を長く続けないことです。

「動く」と「休む」を対立させるのではなく、

動ける範囲で動く → 疲れたら休む → またできる範囲で動く

というように調整してみましょう。


こんな症状がある場合は医療機関へ

ぎっくり腰だと思っていても、すべての腰痛が単純な急性腰痛とは限りません。

特に、

  • 足に力が入りにくい
  • しびれが強い、または広がっている
  • 股の周囲の感覚がおかしい
  • 尿が出にくい、尿や便を漏らしてしまう
  • 強い外傷後に発症した
  • 発熱などを伴う
  • 痛みが非常に強く、改善しない
  • 症状が徐々に悪化している

といった場合には、自己判断で様子を見ず、医療機関に相談しましょう。


まとめ

ぎっくり腰になったときに大切なのは、

「できるだけ動かない」ことでも、「痛みを我慢して動く」ことでもありません。

無理のない範囲で、できる活動を続けること。

そして、

痛みが強くなる動作は減らし、疲れたら休むこと。

このバランスが重要です。

ぎっくり腰になった直後は、どうしても「腰を守らなければ」という気持ちから、動くことを避けてしまいがちです。

しかし、必要な生活動作まで完全にやめてしまう必要はありません。

「今できることを、今できる範囲で。」

痛みがあることは辛いですが、少しずつ普段の生活に戻していきましょう。


参考文献

  • Hagen KB, Jamtvedt G, Hilde G, et al. The updated cochrane review of bed rest for low back pain and sciatica. Spine (Phila Pa 1976). 2005 Mar 1;30(5):542-6. 
  • Shirado O, Arai Y, Iguchi T, et al. Formulation of Japanese Orthopaedic Association (JOA) clinical practice guideline for the management of low back pain- the revised 2019 edition. J Orthop Sci. 2022 Jan;27(1):3-30.
  • Rozenberg S, Delval C, Rezvani Y, et al. Bed rest or normal activity for patients with acute low back pain: a randomized controlled trial. Spine (Phila Pa 1976). 2002 Jul 15;27(14):1487-93.
  • Vlaeyen JWS, Linton SJ. Fear-avoidance and its consequences in chronic musculoskeletal pain: a state of the art. Pain. 2000 Apr;85(3):317-332.
  • Nielson WR, Jensen MP, Karsdorp PA, et al. Activity pacing in chronic pain: concepts, evidence, and future directions. Clin J Pain. 2013 May;29(5):461-8.

おすすめ記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました